FC2ブログ

人生迷子

 オリジナル小説を書いたり、二次創作を書いたり、PBWのマスターとして活動したり、小説の感想を書いたり、日記を書いたり――要するに文芸するブログです。

指定期間 の記事一覧

第5話 ゼロのルイズ(5)

2013.04.20 (Sat)
 少し続きを投稿するのは気が引けましたが、自分で言っておいて実践にしないのは妙な話ですからね……。
 という訳で、中二病ルイズの第5話です。私と作品内での中二病が加速し始める話です。

 それでは本編へどうぞです。





 ルイズの中に眠る精神力が、ソフィアの呼び掛けで目覚め出す。

「わたしの前に敵はあらず、そして後ろにはただ敗者が並ぶのみ。力の限り挑んできなさい、有象無象ども!」

 ハイテンションになったルイズは、ワルキューレの壁から外に出ると、笑い顔のまま攻撃を回避しつつ、術を構築する。
 ルイズの魔法に詠唱は必要ない。
 必要なのは座標指定とイメージだ。

「爆破! 爆発! 爆砕! 逃げ惑いなさい雑種ども。この天才たるルイズ様に逆らった時点で万死に値する!」

 ルイズは人に直撃しないように、ただし昏睡ぐらいはありえるぐらいの距離で、小さな爆発を発生させまくる。

「うわぁぁっ! ゼロのルイズが壊れたぞ!」

「やめ、ぎゃっ!」

「こっち見た、やめ、ぎゃぁぁぁぁっ!」

 容赦の無いルイズの爆撃に阿鼻叫喚の地獄絵図ができあがった。

「ふははははははっ! ブリミルよぉ! 貴様の作った魔法体系はその程度か! わたしを止めてみろ、倒してみろ、否定してみろぉぉっ!」

 そんな中、才人は冷や汗をかきながらデルフリンガーを構えた。

「あれって、ルイズだよな?」

「嬢ちゃんはテンションが上がるとあんなもんだ」

「やれやれ……でも、俺だって怒りはおさまっていないさっ!」

 才人は怒号を上げると共に、敵の一団へと突っ込んだ。

「おらおらおら! 近付かれたらメイジも無力ってか!」

 峰を使い、杖をはじいたり、杖を持つ手を攻撃し手放させたりする。
 ガンダールヴのルーンによって才人は、超人的な身体能力を得ている。ただでさえ、詠唱に意識が向いていたメイジ達は、反応が遅れてしまい、次々と武装解除されていった。

「二人とも戦い方に品が無いね。行くよ、僕のワルキューレ!」

 ギーシュの合図でワルキューレは、攻撃と防御の役割に半々で別れて、行動を開始した。

「ギーシュは品があるというより地味なだけでしょ」

「言ってくれるね」

 戦闘中のルイズが余裕の表情を浮かべたまま、ギーシュに言った。
 挑発を受けたギーシュは、自身の持つ力を最大限に発揮する。単純な動きしかしなかったワルキューレ達が、フェイントなどを織り交ぜた複雑な動作をし出した。

「最初からそうしなさい」

 ルイズは不敵に笑った。




 戦闘は既に教師に止められる規模ではなくなっていた。
 そんな中、才人は焦りを感じ始めていた。

(幾らなんでも数が多過ぎるな)

 武装解除しているだけなので、また別の杖を用意したり、拾い直したりして戦闘に再び参戦する者が居た。それに、マントの色を見て分かったのだが、どうやら上級生まで参加しているようだ。

「なっ! それは流石にやり過ぎだろ!」

 何十本もの氷の柱が宙から降り注ぐ。すべてルイズに向かっていた。

「才人っ!」

 ルイズの呼び声が聞こえた気がした。
 才人はほぼ無意識の内にルイズの元へと走っていた。そして、ルイズの前に立ち塞がり、迫り来る氷の柱をデルフリンガーで迎え撃つ。

「うらぁぁっ!」

 飛来する氷柱を薙ぎ払い、返しの一閃で更に切り払う。それでも対処し切れない。

「うがぁっ!」

 氷柱に右肩を貫かれ、才人の手からデルフリンガーが滑り落ちた。

「相棒!」

 脳裏に昨日の夜に語っていたルイズの言葉がよぎった。

『ガンダールヴは神の盾と呼ばれているの。それはね詠唱中の主を守る存在だったからよ。もちろん、そんなタイミングだけではなく常に守護するんだけどね。つまり、あんたはわたしを守るべくして召喚されたのよ。喜びなさい、あんたも伝説の担い手よ。過去のではなく、現在進行形のね』

 後半はなんだか無駄な回想だったが、とにかく才人はルイズを守らなくてはダメな気がした。

「そもそもなぁ、主とかそんなん関係なく……女の子を守るのは男の役目だってぇの!」

 気合で立ち上がり、続いて迫る『フレイム・ボール』に対し、才人は自らの体を盾とした。
 ファンタジーの喧嘩は命掛けだな、と才人はくだらないことを考えながら、その意識を手放した。




 ルイズは戦闘と並行して、冷静に状況の把握をしていた。

「……中々、どうして真っ直ぐね」

 地面に転がる才人は危ない状態だ。だが、今すぐ死ぬわけでは無いだろう。
 この戦闘をどっかから覗き見ている狸爺に手札を晒すのは避けたい。しかし、これだけの数だと、殺さずに制圧するのはいささか面倒だ。

「ソフィア、やっぱりセフィラも連れて来るべきだったわね」

『ルイズ様、弱気にならないでください』

「弱気じゃないわ、ただ面倒だな、と思っただけ」

 瀕死の才人に追撃を加えるほど残虐な者は居なかった。
 すぐ隣で戦うギーシュも限界が近い。流石にワルキューレの酷使をさせ過ぎたようだ。

「ギーシュ、才人を連れて学園内に逃げなさい。狙いはわたしだろうから、そんな積極的には狙われないはずよ」

 ギーシュは額に汗を滲ませながら、

「きみはどうするつもりだ」

「わたしを誰だと思ってるの?」

 根拠はわからないが、自信満々のルイズを見て、ギーシュは躊躇なく頷いた。

「わかった」

 短く返答し、ワルキューレを盾にして才人の救助へと向かっていった。
 たった一人の戦場になったことでルイズは、肩が軽くなるのを感じた。

「わたしは守るのも守られるのも苦手なのよ」

『……あれを使用しますか?』

「セフィラのサポートが無いと無理ね。ここは、ゼロのルイズとして戦うわ」

『ルイズ様ならできますよ』

「ふふっ、ソフィア、誰に向かって言ってるの?」

『あわ、すみません、そんなつもりでは』

「大丈夫、わかってるわよ。ソフィアは優しいわね」

 ルイズは雨霰と降り注ぐ魔法の攻撃を紙一重でかわしながら、ソフィアとの談笑を楽しんでいた。そんな態度が敵を更に怒らせていたが、もちろんルイズの知ったことではない。
 攻撃の合間に座標指定をしていく。
 ルイズの魔法は何も一箇所のみに発動するわけではない、明確なイメージがあれば、一度に複数の箇所に対して爆発を起こすことができる。

『ルイズ様、座標指定完了まで後三十秒です』

「そう、なら……」

 ルイズは点滅するソフィアを一度撫でてから、噴水の上へと上がる。攻撃は激しくなったが、ルイズはひらりと躱し続ける。
 ルイズの回避能力が優れているのもあるが、ここまで避けられるのは異常だ。しかし、それには理由があった。

 攻撃が一箇所に殺到し過ぎなのだ。そのため、対立する系統の魔法がぶつかり合い、打ち消しあったり、その威力を緩和したりして、足を引っ張り合ってしまっているのだ。また、放たれる魔法も多ければその術者の数も多いことになる。同士討ちを防ぐためにどうしても控えめになってしまう部分があるのだ。
 数人ならば、逆にルイズを簡単に捉えられていただろう。

「ふふふっ、群がる愚民ども、この人類の叡智として崇められ、最も神に近い者として生きる伝説となったルイズ様のありがたい魔法を受けられるのよ。感謝しなさい。そして末代まで誇りなさい!」

『準備完了です』

 ルイズの黒色の瞳が怪しく輝いた。

「ふふっ、呪文名なんて無いわね。でも、きっとこれが一番適しているに違いないわ」

 ルイズの体から精神力が迸り、座標指定した地点までを擬似的に繋げ合う。

「刮目しなさい。『インフェルノ』!」

 ソフィアがルイズの叫びと魔法の行使に呼応し、激しく明滅する。
 そして、広場は爆炎に包まれた。
 地面に散らばった杖を媒介にして発生した幾つもの爆発魔法は、連鎖していき、広場に居た者たちを宙へと飛ばす。安全地帯はルイズの立っている場所だけだ。

 杖という持ち主の精神力を帯びたものを指定することによって、指定できる数を大幅に増やすことができたのだ。
 ルイズの目論みは成功し、広場には呻き声が響き渡り、視界一杯に煙が立ち込めた。
 死者はゼロである。それだけ威力は押さえてある。爆発といっても、ほとんど衝撃波を発生させるような類なので、最悪でも骨折程度で済んでいるだろう。

『お見事です、ルイズ様』

「ありがとうソフィア」

 呻く人々が敷き詰められた広場はまさに地獄だった。
 そんな中、ルイズは満面の笑みを浮かべ、ソフィアは嬉しそうに点滅していた。




 その後、もちろん学院長室に呼び出された。

「ミス・ヴァリエール……今度ばかりは言い訳はきかんと思うんじゃな」

 ただし、ルイズだけだった。
 ルイズは学院長という、トリステイン魔法学院にて最高権力者の前でも不敵な笑みは崩さなかった。

「黙りなさい、狸爺。既に知っているんでしょう? だから、止めなかった」

 学院長――オールド・オスマンは重々しく頷いた。

「ギーシュと才人の決闘ぐらいなら止める必要はないのは当たり前。でも、流石に後半のあれは死者が出ていてもおかしくなかったわ」

「うまく行ったようではないか」

 オスマンは後ろで腕を組み、窓の外へと目をやった。

「ええ、わたしならうまく行くのは当然でしょ。それよりも、本題に入りましょう」

「『ガンダールヴ』じゃな。そして――」

「わたし」

「ふぉっふぉっふぉ、遂に尻尾を出したのう。ミス・ヴァリエール」

「最初からわたしの存在を警戒しておいて、その言い草は何かしら、オールド・オスマン」

 両者、睨み合いばちばちと火花を散らす。
 ルイズは一歩にじり寄り、表情を薄くした。

「あなたはわたしを知っているはずよ。『異端』のルイズをね」

「その二つ名、懐かしいものじゃ。して、異端よ、この学院で何を成すのかな?」

 ルイズは狂人の笑みを浮かべた。

「別に何もしないわ。ただ、一年間我慢してやっていただけよ。それに、『ガンダールヴ』を使い魔とした時点で、あなたはわたしへの疑いを確信としたでしょう? ならいっそ隠すのを止めた方がいいじゃない。わたしの魔法を」

「爆発魔法か……。異端よ、その破壊の力で何を成そうとするつもりじゃ」

「だから何もしないわ。でも証明されたでしょう。わたしの魔法は、わたしというメイジは、伝説を呼び覚ます。きっとわたしの意思に関係なく、このハルケギニアで何かが起きるでしょうね」

 嬉しそうに笑うルイズに、オスマンは薄ら寒さを感じた。
 そして、ルイズの言葉が現実になるのだろうと確信した。




 広場に転がる死体予備軍の治療費はルイズのポケットマネーから支払われた。

「まさか子どもの頃に稼いだ金がこんなことに役立つとはね」

 と貴族の家が傾くぐらいの支払いをなんなく済ませていた。

『ルイズ様、貯金の大切さを理解されましたね。これからも勤勉に生き、こつこつとお金を貯めれば……』

「貯めれば?」

『国を立ち上げるぐらいはできるでしょう』

「それは面白そうね」

「嬢ちゃんに政治は無理だと思うぜ」

 ちなみに、ベットで才人がんーんー唸っている。誰も気にしていないが。

「デルフリンガー、もう撫でてあげないからね」

「へっ、それは大助かりだぜっ!」

『デル兄さま、素直になられないと、本当に撫でてもらえなくなりますよ』

「なっ!? 嬢ちゃん、待ってくれ、さっきのは言葉の綾で、決して本心じゃねぇんだ」

「…………」

「嬢ちゃぁぁぁぁんっ!」

 今日もルイズ一家は平和なようです。
スポンサーサイト



ご冥福をお祈り致します

2013.04.13 (Sat)
 2013年4月4日、『ゼロの使い魔』の作者であるヤマグチノボル先生がお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り致します。
 先生から紡ぐ物語が好きで、私は『中二病ルイズ』を書きました。
 ゼロの使い魔を完結させることができず、非常に無念だったことと思います。

 ゼロの使い魔が今後、どのようにして結末を迎えるのかは分かりませんが、人気作であることからたくさんの二次創作が生まれています。先生の訃報に続きを書くのを断念する方もいらっしゃるかもしれません。どうすることが正しいかなんて答えはないと思いますが、私はそれぞれにオリジナルの結末を紡げば、きっとゼロの使い魔を確かな形で残せるような気がします。

 最後にヤマグチノボル先生のご冥福を改めてお祈りして、筆を置かせて頂きます。
 | HOME |